接骨院では、健康保険が使えない場合があることをご存知でしょうか。接骨院は保険医療機関(病院など)ではないため、必ずしも健康保険が使えるわけではありません。接骨院を利用するときは、健康保険が使える場合を正しく理解しておくことが大切です。
接骨院とは
接骨院は、保険医療機関ではありません。接骨院と保険医療機関では、次のような違いがあります。
接骨院と保険医療機関
名称 | 接骨院(柔道整復) | 病院・診療所(保険医療機関) |
---|---|---|
資格者 | 柔道整復師(ほねつぎ、接骨師) | 医師 |
資格 | 柔道整復師法に基づく国家資格 | 医師法に基づく国家資格 |
行為 | 外傷性が明らかな打撲、ねんざ、挫傷、骨折、脱臼に対する「施術(整復・固定など)」 | 病気やけがに対する「治療」「予防」「指導」など |
健康保険の適用範囲
接骨院は、保険医療機関ではないため、健康保険の適用範囲が制限されています。たとえ看板や広告に「各種保険取扱」と書かれていても、健康保険が使えるのは一部のケースだけです。
- 次の場合のみ健康保険を使うことができ、施術費の支払いは一部負担ですみます。
● 外傷性が明らかな
打撲、ねんざ、挫傷(肉離れなど)● 骨折、脱臼
骨折および脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。● 骨・筋肉・関節のけがや痛みで、その負傷原因がはっきりしているもの
- 次の場合は健康保険が使えません。施術費の全額が自己負担になりますのでご注意ください。
● 日常生活や老化による疲れや痛み ● 単なる肩こりや筋肉疲労 ● 症状の改善がみられない長期にわたる施術 ● 異なる患部への“ついでマッサージ” ● 椎間板ヘルニアやリウマチ、神経痛、五十肩、関節炎などの疾病 ● 病院とのはしご受診 ● 過去の負傷の後遺症 ● 応急処置後、医師の同意のない骨折、脱臼 ● 勤務中、通勤途中のけが ※労災保険扱い
健康保険でかかれるときの支払方法
健康保険を使って柔道整復師の施術を受けた場合の費用は、「療養費」扱いとなります。療養費は、患者が窓口で費用の全額をいったん支払い、後日、患者自らが健康保険組合へ請求し、払い戻しを受ける「償還払い」が原則となります。しかし、柔道整復師の場合、例外的な取り扱いとして保険医療機関と同様、患者の窓口での支払いが一部負担のみですむ「受領委任」が認められています。この場合、柔道整復師が患者に代わって保険請求を行うことになりますので、施術を受けた際に「療養費支給申請書」への署名が必要になります。
はり、きゅう、マッサージの場合
健康保険を使ってはり、きゅう、マッサージなどを受けた場合も、その費用は「療養費」扱いとなります。
- 次の場合のみ健康保険を使うことができます。ただし、あらかじめ医師の発行した同意書または診断書が必要です。また、医療機関(※)とはしご受診をしていると健康保険は適用されませんのでご注意ください。
※ 医師からの処方薬やシップも診療行為となり、併用するとはしご受診になります。 ● はり・きゅう
神経痛、リウマチ、頸腕(けいわん)症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫(けいついねんざ)後遺症などの慢性的な疼痛(とうつう)。● あん摩・マッサージ・指圧
筋まひ、関節拘縮(こうしゅく)等であって、医療上マッサージを必要とする場合。
接骨院などにかかる際に気をつけること
健康保険を使って接骨院、はり、きゅう、マッサージなどにかかるときは、次の点に気をつけましょう。
- 負傷した部位、日時、原因を正確に伝えましょう。
- 「療養費支給申請書」に署名する際は、次の項目が正しく記載されているかよく確認し、必ず自分で署名しましょう。
内容をよく確認せずに署名したり、白紙の申請書に署名したりすると、誤った請求や不正な請求を招く原因となり、健康保険が適用されず全額自己負担になることがありますので、絶対にしないでください。
- 領収証は必ず受け取り、保管しておきましょう。後日、健康保険組合から送られてくる医療費通知の金額と確認し、万一違っていたら健康保険組合までご連絡ください。また、施術内容の記録(負傷部位、施術日、施術内容、支払金額等)を残しておくとよいでしょう。
*施術項目ごとに内訳が明記された明細書を求めることができます。ただし、発行費用がかかる場合があります。
療養費の適正化にご協力をお願いします
健康保険組合では、療養費の不正な支出を防ぐため、健康保険を使ってや接骨院、鍼灸院にかかった方に、施術内容等について照会させていただく場合があります。その際は、お手もとの領収証や明細書、施術内容の記録をもとにお答えいただきますようお願いします。みなさまに納めていただいた保険料を適正に使用するための確認ですので、ご理解とご協力をお願いします。