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近ごろよく耳にする“ジェネリック医薬品”という言葉。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許期間が切れた後に、他の製薬会社が同じ成分で製造する医薬品で、国が安全性を保障する安価な医薬品です。正しく理解し上手に活用すれば、薬代の節約に役立ちます。家計も助かるジェネリック医薬品を積極的に活用しましょう。

新薬とジェネリック医薬品

私たちが病気やけがをして医療機関に受診したとき、多くの場合、処方せんをもらって薬を購入することになります。この処方薬(医療用医薬品)には、新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品(後発医薬品)の2つの種類があります。


先発医薬品(新薬)
文字どおり開発後まもない新しい薬のこと。研究、開発に長い年月と莫大な費用がかかるため、製造した製薬会社には、独占的に製造、販売することができる特許期間が与えられます。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)
新薬の特許期間が過ぎれば、他の製薬会社でも新薬と同じ有効成分を使って薬を製造、販売することができます。こうして製造された薬がジェネリック医薬品です。

ジェネリックを発売するには、厚生労働省の審査を受け、承認される必要があります

医療上の必要がないにもかかわらず、患者が「ジェネリック医薬品」ではなく、「新薬」を希望する場合、ジェネリック医薬品と新薬との差額4分の1が、患者の自己負担となります(選定療養)。
※医療上の必要があって先発医薬品を使った場合、在庫状況などからジェネリック医薬品の調剤が困難な場合などは、全額、健康保険が適用されます。

ジェネリック医薬品のメリット

ジェネリック医薬品には、次のようなメリットがあります。


新薬に比べて価格が2~5割安い
新しい薬の開発には10~15年以上かかるといわれており、費用は数百億円にのぼるといわれています。しかし、ジェネリック医薬品の場合、新薬に比べて開発期間が3~5年と短くてすみ、その分開発コストを大幅に抑えることができます。そのため、ジェネリック医薬品の価格は、新薬に比べて2~5割ほど安く設定されています。
※同じ有効成分を使ったジェネリックでも、メーカーによって価格は異なります。
価格が安いのに効き目や安全性、品質は新薬と同等
ジェネリック医薬品は、まず特許期間満了を迎える新薬の中から、ジェネリック医薬品として開発する薬を選定し、開発されます。その後、成分の有効性や安全性が新薬と同等であるか検証され、新薬との同等性が証明されれば、厚生労働省に承認申請し、審査後、承認されて初めてジェネリック医薬品として販売できます。
飲みやすさなど工夫が加えられている場合も
新薬は、特許期間中に多くの患者に対し処方されますが、ジェネリック医薬品の開発の際には、新薬の処方を受けた患者の声に耳を傾け、小さくしたり、コーティングを施したりとさまざまな工夫が加えられている場合があります。

慢性疾患など、
長期間薬を服用する場合は大幅な節約に

慢性疾患など、薬を長期間飲み続ける必要がある場合は、ジェネリック医薬品に切り替えると、薬代を大幅に節約することができます。

こんな病気にもジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品には、さまざまな病気の治療薬が製造されています。
高血圧症 糖尿病
脂質異常症 ぜんそく
関節リウマチ 脳梗塞
心筋梗塞 かぜ
花粉症 不整脈
不眠症 骨粗しょう症
抗がん剤 など    
すべての医薬品にジェネリックがあるとは限りません。
差額を計算してみよう
ジェネリック医薬品の普及を促進する団体等が運営するWebサイトでは、ジェネリック医薬品に切り替えたときの差額を簡単に調べることができます。今服用している薬をお手もとに用意して、切り替えるとどのくらい差額があるのか調べてみましょう。
日本調剤株式会社
「ジェネリック医薬品検索ジェネリックガイド」 (差額計算が簡単にできます)

ジェネリックガイド

日本ジェネリック製薬協会「かんたん差額計算」

JGA(かんたん差額計算)

暴力行為を受け、けがをしたとき

ジェネリック医薬品を処方してもらうには?

ジェネリック医薬品を処方してもらうためには、まずは医師か薬剤師に相談することが大切です。ポイントは、ジェネリックを希望する意思をはっきりと伝えることです。


医師に相談する
薬の処方せんを発行する医師に相談するのが確実な方法です。診察の際に、次のように一言相談してみましょう。

注意
医師の治療方針などによっては、ジェネリックが処方されない場合があります。
処方せんをチェックし、薬剤師に相談する
処方せんには、新薬からジェネリックへ変更が可能かどうかを記す「後発医薬品への変更不可」という欄があります。ジェネリックへの変更が不可の薬があれば、この欄にその旨が記載され、「保険医署名」欄に医師の署名または記名、押印があります。医師に相談しづらかったときは、処方せんをチェックし、調剤薬局の薬剤師に相談してみましょう。

注意
すべての医薬品にジェネリックがあるとは限りません。また、在庫状況により切り替えが困難な場合もあります。
「お試し調剤」制度を利用する
ジェネリックに関心を持ちつつ、これまで服用していた薬をいきなりジェネリックに切り替えるのは不安がある、といった人も少なくないのでは。そんなときは、「お試し調剤」を利用しましょう。お試し調剤とは、1回に処方された薬を2回に分けて受け取ることができる制度で、1回目をジェネリックで短期間分調剤してもらい、問題がなければ2回目もジェネリック、万が一体に合わなかった場合は、2回目をもとの新薬に戻すことがきます。お試し調剤を利用するときは、薬剤師に相談してみましょう。
入院時の注射薬や点滴薬などにもジェネリック
病気やけがで入院したときも、注射や点滴、検査薬などさまざまな薬が使われます。これらの薬の中にもジェネリックはありますので、医師に相談してみましょう。
注意
入院する医療機関が、定額払い制度(DPC)を導入している場合は、ジェネリックに切り替えても患者負担は変わりません。